驕り・傲り・奢り。意味の違いは?「おごりたかぶる」ってどいうこと?

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驕り・傲り・奢り。意味の違いは?「おごりたかぶる」ってどいうこと?

日本語の難しいところは、同じ音で違う意味のある言葉があるところ。
しかもその違う意味が「ニュアンス程度」の違いの場合は、日本人でさえも混乱してしまいます。
小説を読んでいたりしても、「これはどの意味で使っているんだろう?」なんて疑問が浮かんできたりしますよね。

今回は混同されやすい「おごり」を3種類、どのように使うのか、どんな意味なのかなどに分けてご紹介します。

日本人でも案外親しみがない言葉ですが、覚えるととっても便利ですよ!



驕り・傲り・奢りの三種類はいつもどんな場面で使う?

難しい言葉で表現したい時に、何気なく使っている単語があるかと思います。

今回は「おごり」です。
「おごり」を漢字変換すると、「驕り」「傲り」「奢り」の三種類が出てくるかと思います。

「奢り」はなんとなく、日常でも使用しますよね。
「今日は私の奢りだから食べて!」みたいな感じでよく私も使います。

では、「驕り」と「傲り」は使うかどうか、というと、あまり使わないのが本音かと思います。
でも、おんなじ音だからと間違えて漢字を使ったら大変!
相手をけなしてしまう意味にもなりかねないんです。

ひとつずつ解説していきますので、どうぞ覚えてくださいね。

驕り

驕りは「得意になってたかぶること。わがままな振る舞い」のことをさすとされています。
「驕り高ぶる」とはまさにこのこと。
英語で言うとArroganceで、これを直訳すると「傲慢」となります。
他にも「横柄」や「尊大」などという意味が含まれます。

つまり、「そこまでの力はないのに、その力にあぐらをかいて人を見下している」様子のことだとも言えます。
例文としては、「驕りが彼の身の破滅を招いた」「メディアの驕りが許せないほど不満が国民に募っている」などになります。
「いい気になって勝手な振る舞いをする人間」のことをさす言葉だと思っていただければあっています。

傲り

「傲り」「おごること。また、その心。慢心」とされています。

驕りが振る舞いのことを指すのならば、傲りは心のありようのことをさします。
英訳するとpridefulness、prideで、「慢心する」という意味になります。

例文としては、「傲りと焦りが破滅を招いた」や「それはヒューマニズムの傲りである」などとなります。
熟語でいうと「傲岸不遜」などが近いかもしれません。
「傲岸不遜」とは、自分が人より上だと思って相手を見下し、謙虚さがないことを言います。
これは「心の中で相手を見下している人」のことだと思っていただければ結構です。

奢り

「奢り」「ぜいたく」「人にご馳走すること」のふたつの意味があります。
「奢りを極める」だと、「贅沢を極める」という意味になりますし、「今日は君の奢りだ」などという言い回しはよく聞かれますよね。
英語ではTreatという訳になります。
「おごり」という意味の他に「遇する」や「仕向ける」、「供応する」などの意味を持ちます。
「ごちそうする」と言う意味、おもてなしするという意味でも使用されます。
奢りに「ぜいたく」という意味があるとは私も知りませんでした。
「栄華を極める」が政治力・影響力などに対しての言葉なら、「奢りを極める」は自分自身でそれを楽しむ言葉でしょう。

使い方を教えて

まず「驕り」の使い方ですが、振る舞いが正しくない人間に対し、「あいつは驕っている」などの用法で使います。
気に入らない相手を貶める時に使う言葉です。
もちろんその相手が実際に、人を見下した高慢な振る舞いをしている際に「驕り高ぶった態度をとる」などと使用されます。

「傲り」は、その相手の不遜さが態度ではなく心にある場合に使います。
「あいつは傲っている」とすると、その相手の心持ちが見下されている感じがして気に入らないという意味になります。
討論の場などで自分の意見を譲らない人などには「あいつは傲っている」とこちらの漢字を当てます。

「奢り」には「ごちそうする」「饗応する」という意味がありますので、自分を一段下げて相手をもてなすときにも使う言葉です。
「今日は僕の奢りだから」という時、自分を相手より低く持って来ているのですね。
「今日は君の奢りだから」は、相手が自分より低いか、対等の立場にいることを示します。
なので、上司との会話で、上司が「今日の昼飯は奢りだ」というぶんには構いませんが、自分が「今日は奢ります」と言ってしまうと、上司を下に見ていることになるので気をつけましょう。
そういう時は「ごちそうしますよ」でOKです。
また、相手にごちそうしたい時、英語では「Let me treat you to ◯◯.It’s on me.Let me Treat you.」となります。
◯◯に、寿司なりコーヒーなり好きな品物を入れます。
一言「奢るよ!」と言いたい時は、「It’s my treat.」か「It’s on me」と言えばOKです。

反対語・対義語は?

まず、「驕り」にはどのような意味が含まれているかを考えましょう。
驕りには「自分位は実力があると考え他を侮ること」という意味があります。
となると、その反対語は「相手を敬って自分を低くする」という意味のものになります。
となると、「遜る(へりくだる)」という言葉になりますね。

「謙遜」という単語で置き換えてもいいかもしれません。

「驕った言い方」は「遜った言い方」に、「驕った態度」は「へりくだった態度」になります。

傲るの場合、「奢る」と「驕る」に含まれる言葉ですので、これだけに向けた対義語は存在しません。

では「奢る」はどうなのかというと、やはり「謙る(へりくだる)」という言葉が出てきます。

「謙遜」だけではなく、「自分を卑下する」という意味でも使われます。

「おごれるものもひさしからず…」有名文の中の「おごる」

皆さんは「平家物語」は学びましたか?
私は小学生の頃、冒頭の文章のみ教わりました。
「祇園精舎の鐘の声、諸行無常の響きあり」ってやつですね。
あれに「おごる」という言葉がでてきます。
冒頭の全文はこのようになっています。

「祇園精舎の鐘の声、
諸行無常の響きあり。
娑羅双樹の花の色、
盛者必衰の理をあらはす。
おごれる人(もの)も久しからず、
ただ春の夜の夢のごろし。
猛き者もつひにはほろびぬ、
ひとへに風の前の塵に同じ。」

これは当時の仏教感がよく出ている文章なのですが、「おごる(おごれる)」がでてきましたね?
「世の中のものは絶えず変化していく、勢いが盛んな者もいつかは必ず衰える、今は世に栄えて得意になっているものでも、かならずそれは終わって春の夜の夢のようである、勢いが激しいさかんな波も、いつかはかならずひいていく」という意味です。
この場合、「おごる」=「奢る(贅沢を極める)」→その結果「驕る(傲慢・横柄になる)」になってしまった、と解釈できそうです。
これを転じて「驕る平家は久しからず」という故事ことわざも生まれました。
「思い上がった振る舞いをする者は長く栄えることはなく、いずれは滅びることになる」というたとえとして使われます。
驕ることを悪いことだと認識するのは、平安の時代から変わらないことだったのですね。

似ているようで微妙に違う!同音異口の罠

「驕り」「傲り」「奢り」と三つの言葉を取り上げましたが、どれも微妙に意味が違いましたね。
「驕り」と「傲り」の違いはそこまで致命的なミスになりませんが、「驕り」と「奢り」の違いは、ミスしてしまうと社会的に危ないものになりそうです。

また、「奢ってやるよ」という気軽なやりとりが、立場が上の人にはできないということもわかりました。

社会的なマナーに通じているこれらの言葉をきちんと理解して、これたけ多種多様な意味を口にしていることを日本人として誇りに思いましょう。