日差し、日射し、陽ざし。違いは何?

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日差し、日射し、陽ざし。違いは何?

スマホやパソコンで文字を変換すると、候補がいくつも出てきますよね。
意味が全く違えば迷うことはありませんが、同じような意味の時にはどれを選べば正しいのか、どう使い分ければ良いのか迷ってしまいます。

間違えて覚えていたり、思い込みで、恥ずかしい思いをすることになってしまうかもしれません。

そのような間違えやすい言葉が、日本語にはたくさんあります。

今回は、「ひざし」という読みについて、「日差し」「日射し」「陽ざし」の3つの言葉の違いや使い分けについて見ていきましょう。



それぞれ意味は違うの?

これら3つの言葉を調べると、概ね下記のような意味が書かれていました。

「日差し」…太陽の光、日光、その照り具合
「陽ざし(射し)」…太陽の光、日光、その照り具合
「日射し」…太陽の光のことを意味する表現

見比べる限り、この3つの言葉は、ほとんど同じ意味です。

使われている漢字の意味の違いは?

では、使用されている漢字を一文字ずつ見てみましょう。

3つの「ひざし」の意味に違いはありませんが、使われている漢字の意味には違いがあり、それによって、読み手の「ひざし」の感じ方が違ってくるのではないでしょうか?

「ひざし」に関して言えば、「日」は太陽そのもの、「陽」は日の当たる場所を表しています。

漢字としての「差」はふぞろいな様子を表しますが、「差す」は広くいろいろな「さす」として使われ、「射」は勢いよく出す意味、「射す」はまさに「光が当たる」という意味です。

同じ読み、同じ意味の言葉でも、使われている漢字が違えば、違ったイメージとなるのです。
日本語って、素晴らしいと思いませんか。

以下に、それぞれの漢字の意味や成り立ちを載せましたのでご覧ください。

「日」
意味:太陽、太陽の光、昼、24時間、毎日、日々、日本の略、日曜、日数の助数詞 など
成り立ち:太陽の形からできた文字で、丸い形の中に点がある。満ち欠けのない太陽を丸い形で表している。ただの輪ではないことを示すために、中に点が加えられている。

「陽」
意味:日、ひなた、日の光が当たる場所、山の南側、川の北側、明るい、積極的・能動的、うわべ、うわべだけのみせかけ、清い、澄む、高く大きい、貴い、生きる、偽る など
成り立ち:「こざとへん」は、段のついた土山の形、つくり側は、太陽が地上にあがる様子を表していて、これらが合わさっている。

「差」
意味:たがう、ちがう、くいちがう、そむく、ふぞろい、ふぞろいなさま、つかわす、人をつかわす、さす、入れる など
成り立ち:上部がふぞろいの穂が出た稲の形。下部が、左手とノミまたはサシガネ(工具)の形。ふぞろいの穂が出た稲を刈り取るようすを表した漢字で、ふぞろい、ばらばらを意味する。
「差す」
意味:あるものが表面にあらわれる、あるものが生じる、かざす など
仮名で書くことも多い。
「指す(方向を示す)」、「刺す(尖ったもので突く)」、「挿す(間にさしこむ)」以外の全てに使用される。

「射」
意味:いる、矢をいる、発する、うつ、勢いよく出す、あてる、ねらう、さす、光がさす、嫌になる、嫌って避ける など
成り立ち:弓に矢をつがえた形が変化したものに、右手の手首に親指を当てて脈をはかる形が加わって、弓をいることを意味する漢字となった。
「射す」
意味:光が当たる

どう使い分ければいいの?

読みばかりか意味も同じくする言葉は、使い分ける必要があるのでしょうか。
基本的には、正解や間違いはないと言ってよいでしょう。

ただし、使い分けることで、プラスアルファを期待できるかもしれません。文章の内容に合った漢字の「ひざし」を使うことで、イメージをより豊かに感じられるのです。
個人的な感覚ですが、たとえば以下のようにそれぞれ違ったイメージが浮かびます。

「日差し」は、固いイメージで、一般的に日が差していることを指し、フラットな感じ。
「日射し」は、強く暑い光。じりじりとした夏を思わせる。
「陽ざし」は、やわらかい光。あたたかい。ひなたや、冬・春のイメージ。

内容に合った「ひざし」を使い分ければ、文章が生き生きとすることでしょう。

また、見た目で使い分けることもあります。
書や俳句、絵手紙などは、漢字と仮名のバランスや、文字の形も含めて作品とされるものです。
漢字、仮名の選び方で作品の雰囲気が全く変わることも。

そして、同じ文字が重なる場合、見た目や読みやすさを考えた使い分けがおすすめです。
たとえば、
「日傘を差して、日差しを避けた」
このように、「差」が続いてしまう時、「日射し」「陽射し」を使えば回避できます。

続いて、それぞれの「ひざし」の用例です。これまでの私見に基づいたものとなり、この限りではありません。

用例:日差し

  • 燦々と降り注ぐ日差し
  • 日差しに目を細める
  • 日差しを浴びて、目が覚めた

用例:日射し

  • 真夏の日射し
  • じりじりと焼け付くような日射し
  • 日傘を差して、日射しを避けた
  • 窓から差し込む日射し

用例:陽ざし

  • 春の陽ざし
  • やわらかな陽ざし
  • ぽかぽかとあたたかな陽ざし
  • 陽ざしの中で、タンポポがゆれている

日本語が使いこなせる人になりたい

文字変換をすればすぐに出てくるので、漢字は読めるけれど、書けなくなったということ、ありませんか?

良いことではありませんが、「ひざし」のように、同じ読みの別の漢字をいくつも知るきっかけになる場合も。

「ひざし」についてじっくり考えた今回、自分がいかに日本語を使いこなせていないかということを感じました。

日本語の美しさは誇りです。今よりもう少し意味や文字のバランスを考え、日本語の良さを活かした使い方ができたら、内面がかっこいい大人になれる気がします。
 文字変換中に疑問を感じたら、そのままにせず、調べる習慣をつけたいですね。