災害時に避難所への防災テントや寝袋の持ち込みは可能?

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災害時に避難所への防災テントや寝袋の持ち込みは可能?

東日本大震災以来、大きな地震や災害による、避難生活をテレビで見ることが多くなりました。
避難所内が放送されると、各々工夫を凝らされて、避難生活を少しでも良くしようと努力されている様子を伺うことができます。

その中で、避難生活にテントを使用している方や、寝袋が置いてあるのを見かけました。

避難するべき状況が訪れた時、テントや寝袋はあった方がいいのでしょうか?
テレビで見かけたように、私たちも、避難所に持ち込んでよいものなのでしょうか?

ここでは、災害時におけるテントや寝袋の必要性、避難所への持ち込み等について書いていきます。

目次

テントはあった方がいい?


結論から言えば、テントはあった方がよいでしょう。

ただし、緊急時に逃げ出す際、持ち出そうとは考えない方がよいと思います。
テントはかさばりますし、重さもあります。着の身着のまま逃げ出す時にはもちろん、非常用リュックサックを背負ったとしても、テントは二の次でしょう。
自分、家族の命が最優先ということになります。

その上で、災害発生時の混乱が落ち着いてきたころ、可能であれば自宅からテントを持ち出し、必要に応じて、生活空間を確保することになるでしょう。

また、テントを準備しておくなら、自宅が被害にあっても、すぐに取り出せる場所に保管しておくことが大切です。

災害時のテント使用の目的としては、自宅での生活が困難な場合や、避難所においてのプライバシーの確保、自宅にて停電時に暖を取るため、などがあります。
絶対に必要、ということではありませんし、絶対に使うことができるとも言えません。
しかし、あれば役立てられるかもしれないのです。

テントを用意するのであれば、普段から組み立てたり、寝てみたりして扱いに慣れておかなければいけません。
テント等は避難場所や状況によって、支給される場合もありますが、慣れた、自宅で使い慣れたテントは、極度のストレスの中で、ささやかであれ、心の安らぎにもつながります。

また、ペットと避難生活を共にするために、屋外でのテント生活を選ぶ方もいらっしゃいます。
ペットが家族の一員であるという認識は、広く理解されているものの、避難所への同行は難しいのが現状です。
テントを使用することで、ただでさえ心細い避難時に、大切なペットと離ればなれになることなく、過ごすことができるのです。

近年、アウトドア用品のメーカーでも、レジャーと災害との併用を謳ったテントや道具などが多く販売されています。店頭にて、専門の方のアドバイスを仰ぐとよいと思います。

避難所から離れたところで、テントや車中による避難生活を送る場合、気をつけなければならないことがあります。
自治体などに、自らの存在や安否を知らせる必要があるのです。
また、避難所にいないことで、支援物資や大切な情報が得られない可能性もあります。

安全を確保しながら、情報の得られる場所まで足を運ぶ、パソコンやタブレットなどを使用するなど、情報を得る工夫、自分たちの存在を報告する工夫が必要です。

寝袋は必要?

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寝袋も、あった方がよいと思います。

冬であれば、なおさら、寝袋は暖かいでしょう。
避難所などで支給される防寒具、寝具のひとつとして、毛布があります。

寝袋は、毛布より暖かいですし、寝袋として使用する他に、敷き布団、掛け布団、クッションなど他の用途を持ち合わせたものもあります。

布団よりもコンパクトで軽く、持ち運びがしやすいという利点もあります。

寝袋にも種類があり、布団のような形で数人一緒に入るものや、ミノムシのようになるもの、封筒のような形のものなどいろいろで、素材も様々です。
使い心地や、家族構成などに合わせて選ぶことができます。
もちろん子供用もあります。

テント・寝袋の避難所への持ち込み

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避難所に持ち込むことができるものは、避難所によって、避難所の混み具合によって、違ってきます。

寝袋については、持ち込みが可能です。

一方、テントについては、場所や環境を選びますので、確認の上の使用となります。

避難所においては、広さや混み具合にもよりますが、1人あたりの面積に制限があります。

たとえば、ある避難所では、一人あたり、2.5m×0.8mだったそうです(あくまでも一例です)。

運動場や駐車場、空き地についても、よく確認することが必要です。

初対面の人々が集う避難所では、自分勝手な行動は避けなければなりません。

避難所でのプライバシーの確保

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窮屈な避難所での生活を強いられる時、不安や恐怖に加え、見知らぬ多くの人々と、至近距離で共にすごすストレスも、想像以上のものでしょう。
そんなときに、少しでもプライバシーを確保することができれば、大変な中でも、気持ちを落ち着かせる時間が得られるのではないでしょうか。

ある避難所では、災害が起こった直後は、人を探す必要性や、情報の共有、人がいる安心感が得られるなどの理由で、互いの顔が見えるよう、スペースを仕切ることはしなかったそうです。

やがて、状況がやや落ち着き始めると、今度は、プライバシーの確保が必要となってきます。

近年の大きな災害時には、テントのような素材の小さな箱を並べたような仕切りや、段ボール素材のパーテーションなど、工夫を凝らした避難所もテレビで流されました。
それだけでも、気持ちがずいぶん違うと話されている方もいらっしゃいました。

可能であれば、スペースの中にテントを広げ、授乳や着替え、一人になりたいときなど、個室のような空間を持つことができます。

人には、パーソナルスペースというものがあります。

それは他人に立ち入られると不快に感じるスペースのことで、相手によってその広さは変わります。
知らない人同士が会話をするなら、1.2~2mだと言われています。

避難所では、会話もするでしょうが、長い時間、各々の生活をするわけですから、本当は、もっと広さが必要です。
ただでさえ、不安と恐怖で大変なストレスを抱えているのですから、お互い不快に感じない距離感を維持したい。
でも、災害時には、そんなことを言っていられません。
その代わりに、間仕切りをして、自分だけ、家族だけの空間を作る必要があるのです。

そして、それは家族も同じこと。家族だといっても、小さな空間に長く一緒に居続けるのは、ストレスになることもあります。人間ですから、気持ちにムラもあります。

イライラしてしまうのも仕方ないことです。

そんなとき、スペースの一部にテントを置くことができれば、時々は一人の空間で気持ちを落ち着け、リフレッシュもできるのではないかと思うのです。
着替えや、授乳なども安心してできます

最後に

普段からの心構えの一つとして、防災用アイテムの使い方や使用感について、よく慣れておくことが必要です。
お子様やお年寄りは特に、慣れていないことがストレスの原因になることもあります。

アウトドアなど、遊び感覚でも良いので、使い慣れておきましょう。

テントや寝袋は、ままごと遊びでもいいと思います。
子どもは、部屋の中の小さな家が大好き。
避難所で広げられるようなテントを自分の家のようにして遊ぶことができたら、とても嬉しいと思います。
「おもちゃにしないで」と言わないで、時々一緒に遊んだり寝たりすると良いと思います。

台風や地震が来るたびに、防災について脳裏をよぎります。
そのまま忘れてしまうことなく、気持ちの面でも、防災の面でも、災害が起こっていない時こそ、備えておくべきだと改めて自らに言い聞かせています。

家族との会話にも、防災についての話題を上らせるように心がけようと思います。