エスカレーターが怖くて乗れない! 恐怖症を克服するには?
地下深く潜っている地下鉄があります。
下りても下りても、なかなかホームにたどり着かない路線。
地下鉄を下りたら、延々と上っていかないと改札がない時も。
エスカレーターに乗らずにいることは難しく、エスカレーターに怖くて乗れない人は、大変です。
エスカレーターが怖くない人には、理解ができないかもしれません。恐怖症とはそういうものです。
でも、当人には深刻な問題です。大げさでなく、死活問題です。
ここでは、そんな方々の心が少しでも軽くなるような方法を考えると同時に、エスカレーターの現状についても触れていきたいと思います。
目次
エスカレーターが怖い!
恐怖症というのは、何事に対しても起こり得ます。
何がきっかけになるかは、人それぞれです。
エスカレーターの場合、たとえば、転んだ、落ちた、事故に巻き込まれたなど、恐ろしい思いをしたことで、次から乗ることができなくなることがあります。
原因がわからないけれど、急に乗ることができなくなる場合もあります。
しかし、怖いものは仕方がないのです。荒療治など、無理をすれば、逆効果になりかねません。
本来ならば乗らないに越したことはありませんが、現代社会において、それは難しく、生活に支障を来します。
何とか克服したいものですが、きっかけも人それぞれなら、克服の方法も人によって違うでしょう。
それでも、何かの足がかりになることを願って、克服の方法を紹介していきます。
1回でも乗ることができれば、それは、自信につながり、克服への第一歩となるはずです。
エスカレーター恐怖症の克服
方法の一つとしては、やはり「がんばって」、「慣れる」ことでしょう。
混みあったエスカレーターは、人目や迷惑を考えるとリラックスできないので、空いたエスカレーターを探して練習しましょう。
「何かあったら」という心配を減らすために、何かあったら助けてくれる、家族や友人につきあってもらいましょう。
たぶん最初は相当な勇気が必要です。
怖い物を克服しようとしているのですから、そこは何とか乗り越えなければなりません。
- 段の始まりは、黄色い線です。黄色い線を踏まないようにすれば、どこかに乗れます。大丈夫。
- 片足が乗ったら、すぐに手すりを持って、手すりに頼ります。
- あわててもう片方の足をそろえなくても、手すりに頼りながら少し片足立ちでも大丈夫です。ゆっくり両足をそろえましょう。
- 乗ったら、次には終わりがきます。終わる少し前から手すりに頼りながら片足を浮かせておいて、端をまたいで、浮かせていた足を下ろし、そのまま歩き出すように次の足を出します。
これで、大成功です。
最初から手すりを持つことを勧める方もいますが、個人的には、流れていく手すりに体を引っ張られて、自分のペースで行けないことが怖いので、私は、片足を乗せた直後か同時に手すりを持つ方がいいように思います。
文字で書くと手順が多いですが、本当に怖い時は、手順書が欲しいものです。
手順書があることが「これが頭に入っているから、大丈夫」という、ある程度の安心材料になります。
ですから、この手順が全てということではありません。
自分なりの「これがあれば大丈夫。これをやれば大丈夫。」な、手順や決めごとみたいなものができるとよいと思います。
二つ目は、同伴者の隣りで、一緒に乗ること。
手をつないでもらって、かけ声をかけてもらって、「せーの」や「いちに、さん」など、あらかじめタイミングのはかり方を決め、階段や平坦なところで合わせる練習をして、まったく一緒の動作で乗ります。
降りるときも、「もうすぐ降りるよ」と教えてもらい、かけ声をかけながら降ります。
三つ目は、同伴者の後ろに続いて乗ること。
手をつなぐ、肩に 手を置く、同伴者のリュックサックを持つなどして、離れないようにし、「行くよ」と心の準備をしてもらい、同伴者に続いて、すぐ後ろに乗ります。
次に乗る、という意味でタイミングが図りやすいと思います。
二つ目と三つ目については、下ばかり見て、乗る段を選ぶより、タイミングや感覚をつかむことを優先しています。
子どもの場合は、二つ目の、手をつないで、かけ声をかけながら一緒に乗り降りする方法がおすすめです。
1回でも乗ることができたら、何度か繰り返して、自信をつけていきましょう。
できた、という安心感と、その時の感覚を忘れないためです。
ここからは、心への働きかけです。
四つ目として、「サブモダリティーチェンジ」という方法があります。
これは、心理学の手法で、恐怖症の改善に用いられます。
人は、経験したことを、視る、聴く、触れるなどの感覚を組み合わせて覚えています。
記憶とともにある、これらの感覚を意識的に変えていくことで、過去の怖い思い出を、怖いと感じないようにするのが、「サブモダリティーチェンジ」です。
詳しい方法は、ここでは省きますが、そのような手段があるということを知って欲しいと思い、紹介しました。
克服に悩み、落ち込んでしまう前に、方法のひとつとして考えてみてください。
検索をすると、通信教育、講座などが出てきますが、そうではなく、自分でできる方法として、手順が書いてあるサイトがあるので、まずはそちらをご覧になるのもよいと思います。
ただし、状況が深刻な場合は、カウンセラーや心療内科などに相談することも方法の一つです。
先にも述べましたが、恐怖症というのは、無理してがんばることが逆効果になることもあります。
悩まず、その道のプロフェッショナルに任せましょう。これが五つめです。
高さの克服
エスカレーターは、乗るタイミングのほかに、高いところが苦手な人にとって、高さも心配事になります。
長いエスカレーターなら、なおさらです。
高所恐怖症の克服はまた別の話ですが、エスカレーターの克服という意味では、上や下を見ないようにすることが方法となります。
上りの際、途中で振り返って下を見てはいけません。
また、上を見ても、先の長さから高さが想像できてしまうので、上も見ない方がいいでしょう。
下りは、下へ吸い込まれていくような、落ちていくような感じがするという方が多いようです。
下はもちろん、振り返って、下りてきた距離を確認するのも、高さを感じてしまうので、控えた方がいいと思います。
調べると、下りのエスカレーターを苦手とする方の方が多いようですが、高さを感じるという点では、それも頷けます。
上りも下りも、目を閉じるのは危ないですから、すぐ前の人や、手元、手すりなど、高さを感じない場所へ目を反らせておきます。
エスカレーターのマナー 歩いた方がいいの?
日本エレベーター協会によると、立ち止まって利用することを前提としているとのことです。
駅などでも、エスカレーターは歩かないようにという、表示がされているところも増えてきました。
日本においては、エスカレーターは、立ち止まった状態で利用することがマナーとされているのだと言えます。
エスカレーターのマナー 片側は空けるべき?
まず、そもそも、エスカレーターの片側を空けるというルールはいつごろから始まったのでしょうか。
数十年前は、とくに片側空けを意識することなく、利用していたように思います。
この、片側を開けるというルール。発祥はイギリスのロンドンという説が有力のようです。
それが日本にも入ってきたものの、全国的に定着したのは、90年代くらい。
海外では、古くからエスカレーターは片側を空け、急ぐ人は空いた側を歩いていく、というのが普通となっているところも多くあるようです。
一方、日本では、先に記したように、立ち止まって利用することが前提とされている以上、片側を空ける必要はなさそうです。
子どもと手をつないでも、友達と並んでも、荷物をとなりに置いてもいいわけです。
ただし、「片側空け」が、根強く浸透してしまっているのも確かですよね。
一人の場合は、わざわざ真ん中に乗らないので、誰かが歩こうが歩かまいが、なんとなく片側に寄る癖がついてしまっています。
片側が空いているので、急いでいる人は、ガンガン歩いて行ってしまいます。
歩く人がいるので、わざわざ塞ぐこともないかと、後から乗る人もとりあえず片側を空けておきます。
そんな悪循環、とまでは言いませんが、そういう流れになってしまいます。
立ち止まって乗るという、かつての方式を完全に取り戻すには、時間がかかりそうです。
一段空けの是非
前出の日本エレベーター協会によると、安全のため、前後は空けて利用することを勧めています。
パーソナルスペースを確保するという意味でも、前後は空けた方がいいように思います。
単純に、すぐ後ろの段に立った場合、前の人の背中があまりにも近い。
家族や友達でも近いな、と思いますから、他人の背中が目の前にあるのは、居心地よいものでもありません。
リュックサックなどを背負っている場合は、より近く感じます。
混雑しているからといって無理して詰めなくても、エスカレーターは流れていくものですから、1段空けて乗るようにするのがよいでしょう。
最後に
子どものころ、エスカレーターに乗れない時期がありました。
あるときまでは乗れていたのに、です。
当時は、エレベーターを使ったり、階段を使ったりして過ごしていました。
手をつないでもらい、かけ声をかけながら、トライしたのを覚えています。
いつも「エレベーターにする?エスカレーターにする?」と選択肢をあたえてもらい、基本はエレベーターを選んでいましたが、エレベーターまで行くのが遠かったりして、徐々に自分でエスカレーターを選ぶことが増えていきました。
なかなか、一人で乗ることができるようにはなりませんでしたが、大人になった今では、普通に乗っています。
私は子どもでしたが、大人でも、克服は可能だと思います。
自分に合った、いろいろな方法を探してみてください。
便利なエスカレーターですが、立ち止まらずにどんどん歩いていくことを、危険だとして禁止するようになってきました。
もちろん、お子さまや、体の不自由な方、お年寄りのことなどを考えると、隣りに乗せたかったり、歩いていくときにぶつかったりして危険なのは、わかりきっていること。
立ち止まって乗るのが当たり前になっていくのがよいと思います。
ただ、ちょっと急ぐ人もいると思います。
どうしても、今来ている電車に乗りたいとか。
先に行ってしまった人を追いかけたいとか。
階段を使えばいい、間に合うように動けばいいというのは正論ですが、そこは多少、臨機応変に考えてもいいかなと思います。
最近、「臨機応変」が通用しない世の中になったなあと感じることがあります。
何もかもを事細かに決めておかないと、大きな問題になってしまうのです。
決まっていないことを、大らかにとらえ、その場の状況に応じて行動することよりも、抜け道として悪用することが増えているからかもしれません。
いろいろなことに目くじらを立てず、たとえば「すみません、すみません」と言いながら急ぐ人に対しては、「おやおや」と思いながらも通してあげられるような、そんな世の中ではいけないでしょうか。
誰もが、人の気持ちを考えて譲り合うことができれば良いのに。
でもそれはきっと、片側空けを無くすことよりずっと難しいのでしょうね。