非常口と避難口の違いは何?誘導灯の意味を知ってパニックを回避!
火災、地震…災害が起こったとき、冷静に落ち着いて行動できる人は少ないと思います。
非常事態にすぐには対応できず、パニックに陥ります。
非常口が見つけられず、ドアが開けられず、焦りが募って…。考えるだけで恐ろしくなります。
避難に必要なことを、一つでも多く知っていることで安心でき、いざ避難となったときにも、落ち着くことができるかもしれません。
非常口や非常口についている鍵カバーについてなど、気づいているようで以外と知らなかったことを、確認しましょう。
そして、パニックにならず、落ち着いて行動するためにどうしたらよいか、考えていきます。
目次
非常口と避難口の違い
地震や台風、荒れた天候などの時、そして避難訓練を経験した時、「非常口」「避難口」という二つの言葉を聞くことがあります。
おそらく、聞き流してしまえばそれまでで、今までもスルーしてきたように思います。
しかし、災害が起こるなど、冷静な判断ができなくなったとき、この二つの言葉で混乱するかもしれません。心配の材料は、一つでも減らしておきたいところです。
結論から言いますと、「避難口」と「非常口」は同じものを指します。
ではなぜ、二つの言葉が存在するのでしょうか?
火災などで避難する時の出入り口を、法令では「避難口」としています。
一方、誘導灯や誘導標識では、かつて、「非常口」と大きく表示されていました。それは、「非常口」という言葉の方が、人々になじんでいたという理由からで、当時は文字そのものが誘導灯、誘導標識のメインの表示となっていました。
やがて、現在のような、人が走って出ていく絵(いわゆるピクトグラムとよばれるもの)が、メインの表示に変わっていきます。
それに伴い、文字は、それまで定着していた「非常口」と、英語表記である「EXIT」とが表示されるものの、絵の脇に添えられるような形となります。
現在では、「非常口」の絵が、より定着したため、文字が完全に省略されたものが主流になってきています。
つまり、より人々に抵抗なく受け入れられる言葉を表示として使ったことにより、「非常口」が一般的になったのです。
2種類の誘導灯
「非常口」の誘導灯が2種類あることはご存じでしょうか?
その2種類はパッと見、絵は似ていますし、使われている色も同じ。ですから、日常生活でそれぞれを目にしていれば、同じものと感じている場合もあります。
しかし、その2つの誘導灯には、それぞれ違った役割があります。
この違いを知っておかないと、いざ避難となったときに、戸惑い、焦り、パニックに陥ってしまうかもしれません。
その違いは、二つを同時に見れば明らかです。
一つは、緑地に白い絵柄、もう一つは、白地に緑色の絵柄となっています。
緑地の方は、出入り口上部に設置されている「ここが、まさに非常口です。ここから出てください。」という表示です。
一方、白地の方には、人が走って出ていく絵の横に、矢印が表示されています。それは「非常口はこの先です。矢印の方に非常口があります。」と、非常口へ導くためのものです。
この、白地の誘導灯をたどっていけば、緑地の「非常口」に辿りつくことができるのです。避難の通路や経路を示すのが、この白地の誘導灯です。
誘導灯が緑色や白色であることにも、とても大切な意味があります。「非常口」を示す緑色は、火災時の炎の赤に映え、赤く照らされた中でもよく見えます。白色は、避難の経路や通路を示すという役割のほか、停電時に照明の代わりも果たしています。夜の停電でも、避難経路の要所を照らし、人々を安全に「非常口」へと導いてくれます。
停電ならば、誘導灯も消えてしまうのでは、と心配になりますが、誘導灯にはバッテリーが内蔵されていて、最低でも20分は点灯したままになっています
大きな施設や、高層ビル、地下街、駅などでは60分以上点灯し続け、全員が安全に避難できるよう考えられています。
最近では、点滅する誘導灯や、誘導灯から「非常口はこちら」という音声が流れるものなどや、省エネで長持ちするLEDで正方形のものも増えてきています。
非常口の鍵カバーの外し方
マンションやビルなどで、非常口として設置されているドアの、内側の鍵やノブの部分にカバーがかかっていることがあります。
これは、非常用のドアを、日常的に使用させないためにつけられているものです。
では、「非常口」にたどり着き、外に出ようと思ったときに、鍵にカバーがあって、ドアを開けられなかったらどうでしょう。間違いなくパニックになります。
もちろん、どんな場合でも、簡単にカバーがはずせるようになっています。それでも、あらかじめ知っておけば、より冷静に対応できます。そこで、鍵のカバーの開け方について、紹介します。
鍵のカバーには、いくつか種類があります。鍵やドアの形態によっても違います。カバーは、緑色や無色で透明の、プラスチックでできています。よく見ると、カバーに説明が書かれています。
「引く」
「非常の場合はカバーを割り 中のつまみを回してください」
非常時に、その説明を読む余裕はないと思われますが、多くは上記のように書かれています。
カバーは、「引く」と書かれた部分を手前に引くと、はめ込まれた部分がパカッとはずれるものと、ネジなどで固定された部分が割れてはずれるものとがあります。
ドアノブにはめ込まれた円筒型のものも多く、文字通り、カバーを叩き割るわけですが、手で割ることができるように設計されています。カバーに、手で叩く様が絵で記されている場合もあります。プラスチックのカバーを叩けば、固定されている部分が割れてはずれます。粉々に割れるわけではありません。握って上下左右に動かせば、はずれるものもあります。
どんな形のものでも、カバーをはずせば、露わになった部分に、つまみや取っ手があります。わかりやすく、赤いつまみになっていたり、赤い表示がされている場合も。それらを回せば、ドアが開きます。
いざというとき、パニックにならないために
災害などに巻き込まれた時、パニックになってしまうと、少し考えればわかることも、わからなくなってしまったり、できていたことができなくなってしまったりします。
大変な状況で、落ち着いていられるわけはありませんが、少しでも冷静な判断ができるように、普段からできることをしておきましょう。
そのひとつとして、地域や学校、職場などで行われる避難訓練があります。実際、避難訓練が功を奏したという例もあります。めんどうだから、意味がないから、と言わないで、参加しておきましょう。なんとなくではなく、一つ一つの行動を確かめながら参加すれば、意味のあるものになるでしょう。
また、今回の記事のように、見過ごしてきたことを改めて知ることが、安心につながる場合もあります。2種類の誘導灯を区別して認識できていれば、非常口までスムーズにたどりつくことができます。
鍵カバーの存在や、鍵カバーの開け方、仕組みを知っていることで、落ち着いて非常口を確保することができます。
旅行や出張での宿泊先には、避難経路を示したものが、廊下や部屋に必ずあります。まず、最初に確認しましょう。同行者がいる場合は、一緒に確認するのも良いと思います。情報は共有しておくべきです。
また、非常口に鍵カバーなどがかかっている場合は、どういう形のものかもよく見ておきましょう。ただし、決して面白半分に開けてはいけません。
最後に
災害などはいつ起こるかわかりませんし、いつでも起こり得ます。
それなのに、どういうわけか、人は「自分は大丈夫」だと、なんとなく思いがちです。
しかし、なんの前触れもなく起こるのが災害です。心の準備がなければないほど、パニックになり、知っていたことも思い出せなくなります。
ニュースで見た、ある忘れられない事例があります。
カラオケ店のビル火災で、女子学生数人が、消防署に通報の電話をかけました。消防署員は電話口で、彼女たちに、落ち着くように言い、体勢を低くして待つよう具体的に指示をしました。彼女たちは、署員の言葉に従い、無事に救助されました。
署員の声を聞き、対処法を教えてもらうことで、たぶん彼女たちの気持ちはかなり落ち着いたことと思います。それでも、本当に外に出るまでは、生きた心地がしなかったでしょう。
避難するときの方法を知っていて、なおかつ、それを信じて行動することが、生死を分けるのだと、感じました。また、それらは落ち着いていてこそ、可能になるのです。
近年、世の中は、災害などに対処できるように動いています。
わかりやすい表示や、経路の確保や誘導。避難場所の確保。
そういうものがある、ということは心のよりどころにもなります。
それら公共の工夫や、自分の知識を無駄にしないよう、いざというときも、できるだけ落ち着いて行動したいと思います。