小学校低学年の読書感想文 どうまとめたらいい?親が手助けしてもいいの?
多くの小学校で、夏休みの宿題として出される読書感想文。苦手意識を持っている人、多いですよね。
自分の子どもが、読書感想文で困っていたら、どう手を差し伸べたらいいのでしょう。
そもそも、手を出して良いものなのでしょうか?
ここでは、読書感想文への取り組み方や、大人の役割について書いていきます。
子どもたちが、満足のいく読書感想文を持って学校へ行けるよう、お役に立てれば幸いです。
目次
何から手をつけたらいいのかわからない!
おおまかな手順としては、以下の通りです。
本を選ぶ→1回読む→付箋を貼りながら見直す、メモする→下書きをし、まとめる→清書する
読書感想文は本を読まなければ始まりません。
まずは、読書感想文のための本を選びましょう。以下の選び方を参考に、子どもに合った本を探します。
・好きなこと、好きなジャンルから選ぶ。
どんな本をたくさん持っているか、いつもどんな本が読みたくなるかを考えてみましょう。
・家族や親戚、友達のおすすめ本から選ぶ
・共感できる本。たとえば、同じ境遇・家族構成・経験などの話から選ぶ。
・図書館司書、学校の先生、本屋さんなど詳しい人に聞く。
・課題図書、推薦図書から選ぶ。
大前提として、読み終えることができる本を選ぶことも大切。読み始めて、途中で読み終えることが難しいと感じたら、本を変える勇気も必要です。
絵本、科学の本、伝記、スポーツの本、図鑑、写真集、どんな本でも、選んだ理由や感想、体験などが伴いますから、感想文を書くことができます。
宿題の中でも、読書感想文は期限ぎりぎりになってから取りかかりがちですが、子どもにとって感想文が書きやすい本を選ぶためにも、ある程度の余裕を確保しておきたいもの。
とくに、スポーツや科学など、「見てみる」「やってみる」ことによって感想が得られるものは、その時間も含めて考えることが必要です。
本を選んだら、構えずに1回読みましょう。ソファで寝そべってでも、ベッドで寝ながらでもかまいません。その日のうちに、本を開くことが大切。
「ここ!」と思ったところに、線を引いたり、付箋を貼ったりするとよいという方法が本などに出ています。
でも、付箋を貼る前提で読むと、そればかり気になって集中できない可能性も。最初に読むときは、ふと気づいたときに貼る程度で、読み進めてかまいません。ただし、わからないことが出てきた場合は後回しにせず、調べたり聞いたりして付箋に書き、貼っておきましょう。
読み終わったら、話を思い出しながら最初にもどり、
「そうそう、自分もそう思う」
「そんなふうには思わないなあ」
「自分だったら、こうするのに」
など、何かを感じた部分に付箋を貼っていきます。
ここで注意すること。付箋を貼りすぎるとまとめるのが大変です。付箋は3~4枚まで。後で選別して絞ってもいいですね。ベスト3と、それ意外は付箋の色を変えるのも一つの方法です。
ついでに、付箋に、何を感じたかメモしておくとまとめやすくなります。文章を書かず、「おどろいた」など、一言メモするだけで十分。
あらすじをまとめただけになっちゃう!から一歩前進
感想文でありがちなのが、結局「あらすじ」だけで終わるというもの。
いっそ提出できればいいや、紙面が埋まればいいや、ということならば、それでもいいですが、感想文としては物足りません。
あらすじをまとめられたなら、そこからレベルアップするのは簡単。
あらすじは、話の内容に沿っていくつかに分けられます。
まず、「話のはじまり」「話の中身」「話の終わり」という大きなまとまり。そして「話の中身」の部分のあらすじを、目次を参考にしながら、さらに2つか3つに分け、それぞれの後ろに感想を入れていきます。この部分ではこう思った、私ならこうする、などという具合。一方で、何も感じなかった部分は削除しましょう。
これで、あらすじをまとめただけの状態から一歩前進です。
また、本の内容だけでなく、本1冊をすみずみまで見て書いていくと、あらすじ以上のものとなります。
具体的には、表紙の絵柄やタイトルの印象、背表紙、扉の絵、作者、目次、挿し絵、本文、裏表紙の絵などについて、感じたことを書くのです。
たとえば、
・表紙がきれいで、読んでみようと思った
・ここの部分の挿絵が悲しそうで、ますます悲しくなった
というような感じ。
あらすじだけの時より、2歩も3歩も先へ行けてしまうかもしれませんね。
親が口出ししてもいいの?
低学年のうちは、口出しという考え方ではなく、共同作業と考えてよいでしょう。
1年生の夏休みなら、やっと文章を書き始めたところ。迷わず、本選びから一緒に取り組んでください。
ただし、それは、子どもの考えや気持ちを引き出すという意味で、先に立ってどんどん進めたり、子どもの考えを否定したりしてはいけません。
そして、低学年に限らず、本を読み慣れなければ、どんどん読んであげましょう。
読み聞かせたあと、今度は一緒に最初のページに戻り、本の内容について話しながら、子どもが付箋を貼り、メモを書いていきます。
そもそも何を求められているの?
読書感想文って、考えてみれば、変わった課題です。多くの学校が実践するこの課題は、なぜあるのでしょう。苦手だと感じる人が多いにも関わらず、なくなることもありません。
それは、必要だとされているからです。
読書感想文の目的は、本を「考えながら」読むこと。楽しみとして本を読む場合は、あえて「考えよう」と思って読む必要はありません。感想文を書くために読むことは、普段の読書と切り離して考えるべきです。
考えて読む、感じたことを言葉にする、筋道を立てて文章にする、書く、という力を子どもの頃につけるために、有効だと考えられているものの一つが、読書感想文。
誰かに何かを伝える時に、順序立てて考え、言葉にする力、文章にする力を養うことが、読書感想文には求められているのです。
うまいまとめ方を教えて!
読書感想文の構成として、「最初」「中身」「締め」があります。低学年ならこの3つを押さえればよいでしょう。
必ず、何度失敗しても書き直すことができる、下書きの原稿用紙をたくさん用意してください。
下書きは、消しゴムではなく、鉛筆で線を引いて消したり、余白に書き足してもかまいません。思いついたことを忘れないうちに、どんどん書いていきます。
大きな矢印で、パズルのように順番を変えることもできますし、切って並べなおしたり、貼ったりしてもよいのです。
では、まとめ方を順に見ていきましょう。
まずは、一番内容が多くなる「中身」の部分から始め、そのあと「書き出し~最初」、最後に「締め」の部分へ。
「中身」は、貼っておいた付箋を元に、「あらすじ」や「引用」を書き、それについて感じたこと、なぜそう思うか、自分だったらどうするか、体験談などを書きます。
この「あらすじ、引用」+「感想など」のセットを2つ~3つ用意します。あらすじや引用の部分は、カギカッコでくくってください。
付箋をたくさん貼っていたら、ここで取捨選択します。一番書きたいことや覚えていること、心に残っていることを書きましょう。
「書き出し」は、なぜこの本を選んだかという動機から始め、どんな本なのか、ジャンルや設定、どんな作者なのかなど、全体的なことを書きます。本の紹介をするような形で書くとよいでしょう。
「締め」は、短いけれど大切な部分です。
たとえば、
・全体を通して感じたこと
・動機の段階の気持ちと今の気持ちを比べる。
・これからどうしたいか
・主人公と自分を照らし合わせてどうか
これらのことを、いくつか組み合わせて書きます。
そして、忘れてはいけないのが、タイトルです。全部書き終わってから、内容に沿って決めますが、単純に「○○を読んで」という、本の題名を含めたものでもかまいません。
何度も読み返して、誤字脱字などのチェックをしたら、清書。多少文章がおかしいのは、低学年ならば愛嬌です。めくじらを立てて修正する必要はありません。
感想文の例
題名:ほんとうのりゆう
わたしは、ねつきがわるくて、まいばんお父さんやお母さんをこまらせています。だから、この本のひょうしに「よーくねむれるパジャマおつくりします!」という「おび」がついていたとき、読んでみようと思いました。
「よくねむれるパジャマ」を作ってくれるので、あんみんガッパはよいカッパだと思っていましたが、わるいカッパでした。あんみんガッパが作るパジャマはのろいのパジャマで、それをきてねると、わるいゆめを見るのです。
モヨちゃんは、パジャマを作るとき、ぴったりにならないように少しうでをまげていたので、わるいゆめからにげることができました。
そのとき、モヨちゃんはあんみんガッパに、どうしてこんなことをするのか聞きました。あんみんガッパは「ねむれんのだ。なん百ねんとねむっておらん」「ぐっすりねむれるやつでもこわいゆめしかみることができないと思うとあんしんする」と言いました。
わたしは、あんみんガッパの気もちがよく分かります。わたしも、ねむれないとこわいし、心ぱいになって、ときどきお父さんやお母さんをおこしてしまいます。だれかがおきているとあんしんするからです。
モヨちゃんは、あんみんガッパがねむれるように、おふろに入ってきれいにすることと、あらいたてのパジャマをきることを教えてあげました。
あんみんガッパはじぶんのパジャマを作るとき、モヨちゃんに「てつだえ」と言って、とてもえらそうでした。
でも、たぶんわたしもモヨちゃんと同じように手つだうと思います。きっと、あんみんガッパも本当は、ふつうの話し方をしたいけど、どうしたらいいか分からないのです。わたしもすなおになれないときがあるから分かります。
あんみんガッパがおふろに入って、パジャマをきたら、さいごにモヨちゃんが「あとはこもりうたをうたってもらえばいいんだよ」「絵本をよんでもらうのもいいんだよ」と言いました。
あんみんガッパにはだれもうたってくれる人がいなかったけど、モヨちゃんがうたってあげたのでよかったです。おかげで、あんみんガッパはねむることができました。
わたしは、モヨちゃんと同じで、おふろに入ってパジャマをきてねます。小さいころは、ねるときに絵本を読んでもらっていました。でも今は、夜ごはんの後に読んでもらっています。
「あんみんガッパのパジャマやさん」をいっしょに読んでいた時、お母さんが「今日は、モヨちゃんみたいに、ねるときに読もうか」と言ってくれてうれしかったです。そして、ふしぎなことに、その夜はよくねむれました。
モヨちゃんは、あんみんガッパにひどい目にあわされたけれど、あんみんガッパにわるいことをするりゆうを聞いて、ねむれる方ほうを教えました。わたしも、もし友だちがこまっていたら、たすけられるように、しっかり話を聞いてあげられる人になりたいと思いました。
いっそのこと、読書感想文を親子で楽しんでしまおう
大人が手伝ってはいけない、という宿題はないと考えています。代わりにやってはいけませんが、一緒にやるのは大賛成です。
とくに読書感想文については、完全に共同作業で良いと思うのです。親子で一緒に本を読み、考えていくことが楽しかったら、理想的。親が難しければ、親戚でも、親の友達でも、だれでもいいのです。がっつりタッグを組んで、挑みましょう。
読書感想文を課題とする是非はこの際置いておいて、楽しめたり、身になった方が子どもにとっても、良い思い出になるのではないでしょうか。
夏休み、どこかへ出かけるならば、読書感想文と連動させてしまうのも、一つの手。星や宇宙の本を選び、プラネタリウムに行ったり、動物の本を選んで動物園に行く。実際に見て、感じて、聞いた感想も交えれば、内容が膨らみます。
読書感想文によって、普段読まないような本と出会ったり、本を読むきっかけになったりする可能性もあります。
これは、一般的な理想論のようですが、あり得ることです。実際私は、かつて読書感想文で選んだ本の作者の作品を、片っ端から読んでいた頃があり、今も多く所有しています。その時から、読書の頻度も格段に増えました。
感想文のために読んでいる時は、そんなことになるとは思ってもおらず、本当にわからないものだなあ、と感じています。
無事に読書感想文が書きあがり、その上、子どもが「読書感想文書くの、意外と楽しかった」と思えるような過程になれば最高ですね。