梅干しの塩抜きのしかたが知りたい!栄養は抜けない? はちみつ漬けが良いって本当?
白いご飯に、真っ赤な梅干し。
それだけあれば十分、なんて人もいるのでは?
梅干しには、強力な殺菌作用や健康効果もあって、積極的に摂りたい食品ですが、一方で塩分が気になるのも正直なところ。
梅干しの塩分を減らす塩抜きのしかた、そして美味しく体にも良い「はちみつ漬け」についても紹介していきます。
目次
塩抜きはいつすればいいの?
健康のために、塩分濃度の高い梅干しは、塩抜きをして食べたいという人も多いでしょう。
特に、高齢になると、血圧や血管の健康のためにも、塩分には気を付けなければいけません。
では、塩抜きは、いつすればよいのでしょうか。
梅干しを作る過程で塩分減らしてしまっては、カビが生える原因となってしまいますし、保存もききません。
塩抜きをしてもよいのは、土用干しが終わり、保存用の壷や瓶に入れて1ヶ月ほど熟成させ、食べごろになってからです。購入した梅干しなら、すぐに塩抜きをすることができます。
梅干しが食べごろになったら、塩抜きに取りかかるわけですが、全ての梅干しを塩抜きしてよいというものではありません。必要な分だけ取り出して行います。必要な分とは、1ヶ月で食べきることができる量です。
塩抜きが完了した梅干しは、塩抜き前に比べて日持ちがしません。塩分が減っている上、塩抜きのために水に浸しているからです。
塩抜き後は、冷蔵庫で保存し、少なくとも1ヶ月以内には食べきるようにしてください。
次項で塩抜きの方法について書きますが、塩抜きには半日から数日間かかります。
それを踏まえて、塩抜きを始めましょう。
塩抜きのしかたは?
基本的な塩抜きの方法は以下の通りです。
ガラスなど酸に強いボウルに梅干しを入れ、梅干しが浸るくらいまで水注ぎ、そのまま待ちます。
浸しておく時間は、元の梅干しの塩分濃度や、味の好みによって変わるので、最初は、数時間ほどで少し食べてみて、様子を見ながら自分好みの塩分を見極めましょう。
やりすぎると、塩分だけでなく風味も酸味も抜け過ぎてしまい、取り返しがつかなくなるので注意が必要。
適度な塩分濃度になったら、梅干しをざるに上げ、乾燥させます。
可能ならば、天日に干すのもおすすめ。
冷蔵庫保存で、消費期限は1ヶ月くらいです。
水の代わりに塩水や酢水で塩抜きすることも可能。
塩水は、浸透圧の力で塩が抜けやすく、また、抜けすぎるのを防ぐことができます。
一方、酢水は酸味を残してくれるので、好みで使い分けてください。
また、どちらも12時間~24時間ほどで塩抜きできますが、水の時と同様、最初は味を確かめながら時間を見極めることが必要です。
塩分濃度20%の梅干しなら、24時間でだいたい半分くらいの濃度になると言われています。
20%といえば、塩を減らすことなく漬けた自家製の梅干し程度で、かなりしょっぱめ。
塩水、酢水の濃度の目安は、梅干し250g(10粒程度)に対して以下の通りです。
塩水:水1リットル+塩5グラム
酢水:水1リットル+酢10ミリリットル
よりしっかり塩抜きしたい時は、12時間の段階で、新しい水(塩水、酢水)に取り替えてください。
また、残った水は、梅の香りや味が染み出した調味料となります。半量まで煮詰めて、お浸しや浅漬けに使ったり、ご飯を炊くときに入れたりしましょう。
栄養は抜けないの?
塩抜きは、梅干しを水に浸すので、水溶性の栄養分 ―― たとえば水溶性食物繊維やカリウムなど ―― については、塩分とともに溶け出てしまいます。
これは、やむを得ないことと言えるでしょう。
栄養分がもったいないと思うのであれば、塩抜きをせず、食べる量や、そのほかの食事の塩分で調節する方法も考えられます。
はちみつ漬けは塩抜きしてから?
塩抜きをした梅干しは、やや水っぽくなるもの。その水っぽさは、はちみつ漬けにすると気にならなくなります。
しょっぱい梅干しだけでなく、たまには違う味の梅干しを楽しんでみるのもおすすめです。
通常、梅干しのはちみつ漬けは、しっかり塩抜きをしてから作ります。
次項では、その作り方を紹介します。
はちみつ漬けの作り方
翌日から食べられる作り方
梅干し250g(10粒程度)
はちみつ65cc
水75cc
- 梅干しを塩抜きする。塩分濃度は10%くらい(かなりしょっぱい梅干しの半分くらいのしょっぱさ)になるように。
- 梅干しの水気を切り、ホウロウや土鍋など酸に強い鍋へ。はちみつと水を注いで、ひたひた(梅干しが水面からほんの少し顔を出す程度)にし、中火にかける。
- 沸騰したら弱火にし、落とし蓋(ペーパータオルかオーブンシートの中央に穴をあけたものでよい。アルミホイルは不可。)をして10分煮る。
- 火を止め、そのまま冷ます。冷めたら、殺菌消毒済みの保存容器に入れ、冷蔵庫保存。翌日から食べられる。数日おくと味が馴染んでまろやかに。
保存期間は、冷蔵庫で2ヶ月です。
もっと簡単に作るなら、2週間漬け込んで
梅干し250g(10粒程度)
はちみつ100cc
水50cc
- 梅干しを塩抜きする。
- はちみつと水を合わせて沸騰させ、そのまま冷ます。
- 塩抜きをした梅干しの水分を、清潔な布巾やキッチンペーパーなどで拭き取り、殺菌消毒済みの保存瓶に詰める。(はちみつ液を梅干し全体に行き渡らせられる大きさの瓶を選ぶこと)
- 冷めたはちみつ液を、梅干しが完全に浸るように注ぐ。しっかりふたをして、冷蔵庫へ。2週間ほど漬け込めばできあがり。
保存期間は、冷蔵庫で2ヶ月です。
塩抜き梅干しはすごい!
「梅は三毒を絶つ」とか、「梅干しはその日の難逃れ」なんて言われるように、梅干しには多くの健康効果や殺菌効果が認められています。
疲労回復や整腸、ピロリ菌の動きを抑制、インフルエンザの予防、高血圧や動脈硬化の予防…など、数え上げたらきりがないくらいです。
下痢にも、便秘にも効果が期待できるなんて、これはもう、薬と一緒に梅干しを常備しておかなければ。
一方で、はちみつの健康効果や殺菌効果もよく知られています。
この二つを同時に取り入れられるのですから、梅干しのはちみつ漬けは、是非試して欲しい一品です。梅干しが苦手な方でも、美味しく食べられるかも。
ただし、体に良いからと言って、たくさん食べて良いものではありません。
塩抜きをしたといっても、梅干しには塩分があります。
塩抜きをした梅干し1個の塩分は、食塩相当量で約2g程度(大きさや、漬け方、メーカーによってかなり違うと考えられます。)。厚生労働省によれば、1日の塩分摂取量は、食塩相当量で男性8g、女性7gですので、梅干しは1日1個が適量だと考えておきましょう。
美味しく体に良く、長期保存が可能な昔の人の知恵、梅干し。今までも生活の中に、当たり前にありましたが、これからもより多くの梅干しパワーを取り入れ、毎日の「難逃れ」をして健康に過ごしましょう。