れんこんを料理するとピンクや紫、黒に変色するのはなぜ?防ぐ方法は?
れんこんの旬は10~3月。
秋から冬にかけて美味しい野菜です。
穴が空いていることから「先を見通す」という演技を担いで、おせちにも使われますね。
シャキシャキホクホクした歯ごたえは、他の野菜にはない独特なもの。
ぜひ美味しく食べたいですが、れんこんが変色していたことはありませんか?
穴の周りが赤くなっていたり、切り口が黒くなっていたり…。
そもそも、この変色したれんこんは食べられるのでしょうか?
れんこんが様々な色に変色するメカニズムと、食べられるかどうかを一緒に学んでいきましょう。
目次
ピンクに変色する原因は?食べても大丈夫?
れんこんをカットしてみると、表皮や穴がピンク色に変色していることがありますよね。
これ、腐っているわけじゃないんです。
れんこんにはポリフェノールが含まれていて、それが酸化すると変色してしまうのです。
れんこんに含まれるポリフェノールの主な成分は「タンニン」ですが、このタンニンと土に含まれる鉄分が反応して「タンニン鉄」となり、赤色に変化することがあります。
タンニンは鉄分と反応した時黒くなることが多いのですが、化学式の構造の違いで赤く変色することもあるのです。
れんこんの表皮が赤いものは、「赤しぶ」と言って、れんこんの表面に酸化鉄がついてしまっているものです。
中身が赤いものと同様に、表面が赤いものも問題なく食べられます。
変色を防ぐには?
れんこんの構造は、葉から酸素を吸い込み、れんこん(根)から酸素を泥の中に排出しています。
この際に、泥の中に含まれている鉄分と酸素が反応して、「酸化鉄」が生まれ、それがれんこんの表面についてしまっている状態がこの「赤しぶ」です。
昔はれんこんを漂白剤によって綺麗にしていたのですが、現在はそのような処置はしなくなっています。
収穫前にれんこんの葉だけを刈り取って、れんこんが呼吸しないようにする「カラ刈り」という手法で、表面に酸化鉄がつかないようにしているのです。
中身の変色を防ぐには、切ってすぐに酢水につけると、ポリフェノールがいくらか水に溶け出すので、白い状態を保つことができます。
紫に変色する原因は?食べても大丈夫?
れんこんが紫に変色してしまうのは、調理方法に原因があります。
これもれんこんのポリフェノールの一種である「タンニン」が元凶。
タンニンは鉄分と反応してしまうので、れんこんを鉄鍋などで調理すると、加熱によって反応が促進され、紫や黒に変色してしまうのです。
電子レンジでの加熱調理でも、熱によってタンニンが反応して変色してしまうことがあります。
鉄製の包丁を使用したりしても紫になってしまうことがあります。
そして「鉄製のものはなにも使っていないのに変色する」という方は、もしかしたら水道管が原因かも!
水道管が劣化すると、水につけておくだけでもれんこんが紫に変色してしまうことがあるようです。
見た目は悪いですが、れんこんに含まれている成分の問題なので、食べても大丈夫です。
変色を防ぐには?
紫になってしまう原因を取り除くには、調理には鉄製のものを使わず、アク抜きをしっかりすることが重要です。
レンジにかけるときも、一度きちんとアクを抜いてからチンしましょう。
黒に変色する原因は?食べても大丈夫?
れんこんの変色で一番多いのが、黒くなることです。
穴の中が黒かったり、加熱調理して黒くなってしまったりすることがあるかと思います。
これも悪さをしているのは、れんこんに含まれるポリフェノールです。
ポリフェノール類が酸化してしまうと、黒く変色しやすくなります。
収穫してから時間がたったれんこんは、穴の中が酸化によって黒くなりやすくなります。
買ったばかりの時は変色していなかったとしても、買ってしばらくたってしまうと黒く変色することがあります。
あまりに黒く変色しているものは、単純に「腐っている」可能性があります。
黒すぎるものは廃棄してしまった方がいいでしょう。
腐ったレンコンは、穴の表面が黒いだけでなく、表皮の方まで黒くなってきます。
茶色っぽい黒に変色している場合は、まだ酸化がそれほど進んでいない証拠なので、酢水につけておけば色が綺麗になります。
変色を防ぐには?
黒や茶色の変色を防ぐには、とにかくアク抜きをすることが大事です。
れんこんを3%の酢水に5~10分さらしておくことで、変色を防ぐことができます。
加熱した段階で黒くなる場合、それは鍋やフライ返しが鉄製だからかもしれません。
鉄製のもの以外で調理しましょう。
鉄分がポリフェノールの一種であるタンニンと結びつくと黒っぽく変色します。
さらに変色は加熱をすることによって進みますので、一度茹でて色止めをするなどの工夫をすると良いでしょう。
変色しないコツはアク抜きをしっかりすること
れんこんが変色してしまう大きな原因は、れんこんのアクに含まれるポリフェノールに原因があります。
鉄分と一緒になると「タンニン鉄」を生み出し、それが酸化するとピンクや黒に変色してしまいます。
となると、その原因の「アク」をしっかり抜いてやることが大事ですよね。
アク抜きはとっても簡単です。
3%程度の酢水に、れんこんをカットしたらつけておくだけ。
時間も5分程度でOKなので、そこまで手間もかかりません。
長くつけすぎると、栄養素も抜けてしまうので気をつけてください。
変色を防ぐには、れんこんの調理を料理の後半にもってくるという手もあります。
例えば、茹でる直前に鍋の上でスライサーでれんこんをカットすると、即座に火が通るので変色はほぼ防げます。
見栄えの良い料理を作りたい場合は、アク抜きをきちんとして、美味しくいただきましょう。
面倒でもそのひと手間が、出来上がりを左右したりするんですよね。
えっ初めからこんな色なの?赤いれんこん
れんこんには様々な品種があり、大きく分けて「中国種」と「在来種」にわけられます。
日本には奈良時代に中国から渡来したと言われています。
現在スーパーなどで手に入るものの多くは、明治時代以降に導入された中国種が多いです。
昔のれんこんは糸を引いたのに、近頃のものは糸を引かない…というのは、昔のものが在来種で、今のものが中国種なためです。
れんこんの品種もたくさんあって、小ぶりでも味が良い金澄や、石川県で主に栽培されている加賀レンコンなどがあります。
そのなかで一際異彩を放っているのが、「友弘」という名前のれんこん。
これ、なんと赤いんです!
別名「赤蓮根」と、そのものずばりなネーミング。
さつまいもの皮のような色をしていて、きめが細かくてもっちりした食感が特徴です。
このれんこんを使えばピンク色などの変色は気にしなくても大丈夫ですが、黒や紫には変色しますので、注意してくださいね。
赤蓮根は、もっちりとした味わいをいかすために、焼いたり炒めたりする調理法が向いています。
れんこんを2cm程度の厚さに切ってじっくり焼いたれんこんステーキは、「これが野菜!?」というほどもっちもちで美味しいです。
オイスターソースやめんつゆなどで炒めたりきんぴらにしたりしても、見た目は美しく味も良いという一品になります。
もしスーパーなどでみかけることがあったら、普通のれんこんとの食べ比べなどをしてみると面白いですね。